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丸山薫賞/平成21年度丸山薫賞決まる!
平成21年
第16回 丸山薫賞
選考   平成21年9月2日、豊橋市役所会議室において選考委員全員の出席のもと、第16回丸山薫賞の選考が行われ、議論の結果、木村迪夫さんの詩集『光る朝』(書肆山田 刊)に決定しました。
選考経過

「生きる意味を求めて」
  第16回丸山薫賞は第一次候補として、北海道から沖縄まで全国から217冊の詩集が応募、推薦された。
  この中から、選考委員の伊藤桂一、菊田守、なんば・みちこ、宮城谷昌光の4名、それぞれの委員が2冊程の詩集を推薦し、次の5冊の詩集が最終候補として挙げられた。
  『系譜』丸地守、『雑草屋』田中武、『光る朝』木村迪夫、『水 離る』前原正治、『わたしが失ったのは』島田陽子(詩集名 五十音順)
  5冊の詩集、いずれも長い詩歴を有する詩人たちの作品で、甲乙付けがたい詩集であり、詩集ごとに各委員が意見を述べあい、熱心に議論がすすめられた。
  『系譜』(丸地守)は、時代の恐怖を自らの系譜を辿りながら、エネルギッシュに、形象化している。『雑草屋』(田中武)は、老年の市井の生活を、軽いユーモアで、散文的、日記風に記した詩集。『光る朝』(木村迪夫)は、詩人の農村の生活を通して人生の苦悩や孤独などの体験を書いた詩集。『水 離る』(前原正治)は、世界の危機へのメッセージを、硬質な言語で表現した詩集。詩「水 離る」は優れた詩である。『わたしが失ったのは』(島田陽子)は、自らのがん手術の体験を、もの静かに、歌っているように書いている、誠実な人柄を感じさせる詩集。
  最終的に、丸地守詩集『系譜』、木村迪夫詩集『光る朝』、島田陽子詩集『わたしが失ったのは』の3冊を対象に検討を重ねた結果、第16回丸山薫賞は木村迪夫詩集『光る朝』に決定した。
  日本の現代詩がいま、希求することの一つに、わかりやすい、読ませる詩という点がある。木村迪夫詩集『光る朝』の受賞は、わかりやすく、優れた詩集であり、第16回を迎えた丸山薫賞に、もっともふさわしい。
  この詩集は、農村に70余年住み、稲作と果樹園を営む詩人の実体験と日々の生活を通して、一期一会の人々との苦悩、希望や喜びなどを、平易な説得力ある、新鮮なことばで表現している。「立ちあがる木」、「光る朝」など優れた詩が多い。「いま」を生きることの意味を静かに語っている詩集である。
(選考委員  菊田 守 記)

受賞者紹介  木村さんは、昭和10年、山形県生まれ。山形県立上山農業高校定時制課程卒業。農業に従事する傍ら詩作を始め、著書は20冊を超える。主な詩集に『わが八月十五日』、『詩信・村の幻へ』(農民文学賞受賞)、『まぎれ野の』(晩翠賞・野の文化賞受賞)、『マギノ村・夢日記』、『いろはにほへとちりぬるを』(現代詩人賞)などがある。
 詩誌「山形詩人」発行代表、「日本現代詩人会」所属。
受賞者あいさつ
受賞の感想  木村さんは「山形県にもゆかりの深い丸山薫先生を記念した賞をいただくとは、夢だに思っていませんでした。おのれの暮しと生活のための精神詩を今日まで書いてきてよかったと、深く心に残りました。ありがとうございました。」と喜びを述べられました。
贈呈式   平成21年10月21日、豊橋市内のホテルで行われ、同賞委員をはじめ、日本現代詩人会理事長の八木幹夫さんら約100人が出席、チェロとピアノの演奏や朗読 などで祝福しました。