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丸山薫賞/平成26年度丸山薫賞決まる!
平成26年度
第21回
 
 
丸山薫賞

選考

平成26年9月5日、豊橋市役所会議室において第21回丸山薫賞の選考が行われ、議論の結果、高階杞一さんの詩集『千鶴さんの脚』(澪標 刊)に決定しました。

選考経過

 本年度の選考委員会は、9月5日、豊橋市役所にて、菊田守、新藤凉子、八木忠栄、八木幹夫、高橋順子の5名により行われた。司会進行は菊田委員。候補詩集は、書名五十音順で川島洋『青の成分』、山口佳巳『神の不機嫌な一日』、小柳玲子『簡易アパート』、高階杞一『千鶴さんの脚』、岡島弘子『ほしくび』の5冊。
 まず各委員がそれぞれの候補作についての意見・感想を述べ、一巡したところで、川島氏、小柳氏、高階氏の3作にしぼられた。
 川島氏の詩集は、日常を丁寧にすくいとり、意味づけをほどこしているが、小さくまとめている印象があり、突き抜けるものがほしいという注文がついた。その結果、小柳氏と高階氏2氏の詩集について、さらに検討をかさねることになった。
 小柳氏は異次元の世界に踏み入り、面白く読ませる力量のある詩人である。このたびはそれに切実さが加わった。完成度は抜群に高いが、清新さにおいて、本賞の対象とはなりにくいことが指摘された。
 高階氏の詩集は、ドイツ在住の詩人で、カメラの愛好家である四元康祐氏の写真とのコラボレーション(共同作業・合作)が元になったものである。写真も掲載されているが、それらは外国の街角や森の中の他、切り取られた不思議な世界だったりして、高階氏のそれまでの繊細な抒情詩は、非私的な世界へと大きく変容を迫られることになった。写真が挑発する視線をうまく交わしたり、融合したりするさまはスリリングでさえあった。また、たとえば、雨上がりの街、信号の変わるのを待って、道路を横断する少女の後ろ姿を写した2枚の写真には、詩人本来の持ち味である、やわらかな抒情が息づいている。
  そうして
  帰ったらお母さんに言おう
  今日 とってもいいことがあったの って
  何って聞かれたら
  神様の洗濯 って答えよう
  お母さん
  笑ってくれるかな         (「雨上がり」部分)
 このように一作ごとに楽しめる反面、一冊ぜんたいの印象が乱反射するかのように切れぎれで、まとまりに欠けるという一委員の声もあった。高階氏の次作にこの試みの成果が生かされることを展望し、期待しての授賞決定となった。

〈付記〉 稲葉眞弓氏の詩集『連作・志摩 ひかりへの旅』も候補作であったが、氏の急逝の知らせが選考委員会開催の数日前にもたらされ、本賞の規定により、選考から外れることになった。『ひかりへの旅』という題名どおり、光がいっぱいの詩集だったが、いまは光を光たらしめる闇の存在に気づかされることになった。ご冥福をお祈りいたします。

(文中敬称略)
(選考委員 高橋順子 記)

受賞者紹介

 高階さんは1951年大阪市生まれ、神戸市在住。1990年、「キリンの洗濯」で第40回H氏賞受賞。2000年、「空への質問」にて第4回三越左千夫少年詩賞受賞。2013年「いつか別れの日のために」で第8回三好達治賞受賞。 平成26年受賞詩集
 受賞詩集『千鶴さんの脚』

   受賞者 高階杞一さん

受賞の感想

三好達治から詩に入った自分にとって、その友人であった丸山薫は詩作の当初から親しい存在でした。初期の詩集『帆・ランプ・鴎』『幼年』などにとりわけ惹かれ、繰り返し読みました。そのような縁のある賞をいただけたことはこの上なくうれしく、光栄に思えます。拙著を選んでくださった選考委員の皆様に厚くお礼申し上げます。

贈呈式

平成26年10月21日(火曜日)豊橋市内のホテルで行われました。日本現代詩人会理事長の北畑光男さんら約100名が出席されました。  
   第21回丸山薫賞贈呈式