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アルゼンチンアリによる被害

アルゼンチンアリ(昆虫類・特定外来生物)

[3]アルゼンチンアリによる被害

1.不快害虫としての被害
 アルゼンチンアリは狭い隙間でも巧みに通り抜ける習性があるため、しばしば屋内に侵入してきます。屋内に侵入したアルゼンチンアリは、台所などに置いてある食べ物にたかったり、部屋中を徘徊したりするため、人に対して不快感や恐怖感を与えます。その他、就寝中に、体中をはいずり回ったり、かんだりするため、十分に眠れないなどの被害のほか、地域によっては、連日、大量のアルゼンチンアリが繰り返し侵入してくるため、日常生活もままならないといった被害も報告されています。

2.農業害虫としての被害
 アルゼンチンアリは、アブラムシやカイガラムシなどの農業害虫と共生関係(異なる生物が、互いに緊密な関係を保ちながら生活する関係)を持っています。アブラムシやカイガラムシは、甘い蜜を分泌しており、アルゼンチンアリはこれらを非常に好みます。アルゼンチンアリは、甘い蜜をもらう代わりにアブラムシやカイガラムシを外敵から保護するため、これらの個体数を増加させます。結果として、アブラムシやカイガラムシによる農作物への被害が、アルゼンチンアリによって助長されていることになります。ただ、このような共生関係は、アルゼンチンアリに限った話ではなく、他の種類のアリとアブラムシやカイガラムシの間でも見られるようです。
 このほか、アルゼンチンアリ自身が、果物、柑橘類、トウモロコシなどの農作物へ直接被害を与えることもあります。

3.侵略アリとして生態系への被害
 アルゼンチンアリは、本来の生息地域以外の場所へ侵入・定着し、物資や人の移動に便乗して分布を拡大する放浪アリと呼ばれる種類のアリです。中でも、侵入・定着した地域で、在来のアリを攻撃して駆逐するため、特に侵略アリと呼ばれています。侵略アリの侵入・定着により、それまで微妙なバランスの上に成り立っていたその地域の生態系はダメージを受け、さまざまな生物への影響が心配されます。
 アルゼンチンアリの侵入による影響については、世界各国からさまざまな例が報告されています。フランスのある地方では、在来のアリは全て一掃され、アメリカのカリフォルニア州では、それまで27種類いた在来のアリのうち16種類が駆逐されています。アリ以外の生物の例としては、在来のアリを主食とするコーストツノトカゲの個体数が著しく減っている例(アメリカ)や在来のアリに種子散布を依存している植物が他の植物に置き換わっている例(南アフリカ)などが報告されています。

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