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ひとり親の子育てについて~子どもの目線から~

【ひとり親家庭向けの子育てコラム】

 

ひとり目は、ひとり親家庭で育ったアーティストの五十嵐岳さんへのインタビュー(全4回)です。今回のテーマは「ひとり親の子育てについて」。インタビュアーは、シングルマザーになったばかりのAさん(30代後半)です。

 

五十嵐岳さんイメージ
  <五十嵐岳さん 略歴>
母ときょうだい4人のひとり親家庭で育ち、幼少期から2010年までオーストラリアのシドニーで過ごす。現地で保育士免許を取得して働きながら、イベントなどで絵を出展。帰国後は各地で個展やイベントを開くなど、精力的にアート活動を行っている。

ひとり親の子どもでも自信を持っていられた

-岳さんのお母さんは、どんな方でしたか。

 僕の母は何でも認めてくれる人でした。良い意味で無責任でしたよ(笑)。常識とは別のところで生きている人でしたね。
 オーストラリアでは、13歳になるまでは子ども1人で留守番をさせてはダメなんです。4人のきょうだいがそれぞれ習い事をしていたので、母は家から20分かかる教室まで別々に送迎してくれて…。よくやってくれたなと思います。
 ひとりで子どもを4人育てるということは、本当に大変だったと思います。それは、保育士になって余計に強く思いました。だから、僕はひとり親ってすごいと思っていて、ひとり親の子どもでも自信を持っていられました。

愛情を注ぐと、勝手に自信がついてくる
-子どもが自信を持ってくれたらいいですね。私は毎日必死で悩んでばかりです。
 親も一人の人間ですから、悩みはあると思います。でも、親が笑顔で大丈夫だよって抱きしめていたら、子どもって結構大丈夫だと思います。ひとり親だろうがふたり親だろうが、子どもも親も個を尊重して「ありがとう」「ごめんね」「すごいね」って、毎日そんな風に言い合えると素敵ですね。子どもって愛情を注いでいたら、そんなに壊れやすいものじゃないし、気付いたら勝手に自信が付いていると思います。

成功も失敗も見守って
-子どもが壊れないように、私が守らなくてはと考えていました。
 子どもにとって、失敗することや自信を持つことも大事ですよね。でも、自信って付きすぎると自分の考えがいちばん正しいと思って強くなってしまうから、相手の考えや想いを受け入れられるようになれるといいなと思います。親は先回りせず、成功も失敗も見守って体験させてあげてください。でも、親が全てを見守る必要はないと思いますよ。

親以外との関わりも経験に
-全てを見守らなくてはいけないと思っていました。
 母も、ずっと子どもと一緒にいるということはなかったですね。心にゆとりがないと、相手の事を思いやれず、自分勝手になってしまい、余計に狭い世界になってしまいやすいです。
 オーストラリアではベビーシッターがいたので、親でない人に助けてもらうことは当たり前でした。例えば、自分ができないことをひとり親のコミュニティの人たちや助けてくれる人にやってもらうとか。そうすると、親とは違う人との関わりや経験を子どもにさせてあげられますよね。

親も自分の時間を大切に

-いろいろな人と関わることは、子どもの経験になりますね。
 それには、親にとっての自分の時間のつくり方が大事になってきますね。お母さんでもお父さんでも親としてだけでなく女性として、または男性として、そして個人として他人と話すとか、趣味など自分の好きなことをするとか。親もそういう時間を大切にしていいと思います。現実は、なかなかそういう時間を作るのは難しいと思いますが…。
 もちろん、子どもが成長していくうえで、家族という安心できる場所が大切だと思います。愛情を持って育てられていると幸せに感じます。なかなか家庭が安心できないという子どもも現実にはいるけれど、家庭内じゃなくても安心できるような人や場所があったらいいと思います。

 何よりもお母さん、お父さん自身が頑張りすぎないでください。完璧な人なんていませんし、しっかりしてなくてもいいんです。

 (来月は「反抗期と母」をお届けします)