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「食パンを極める」は、「安心を極める」(番場 由起)

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「食パンを極める」は、「安心を極める」(番場 由起)

食パンの写真「食パンを極める。」大通りにそびえる縦長の看板に書かれた文句だ。店舗前の黒板にも「極み」と明朝体で強く書かれている。また店のガラス壁面に、商品紹介のA4パネル(写真)が貼ってあって、びっしり店のメッセージが書かれている。ここまで徹底していると、店のこだわりが強すぎて、「一見客お断り」という雰囲気すら感じる。

だがよく見れば、紹介パネルには味や食感のほかに、原材料が細かく併記されている。東三河産の牛乳や沖縄産の平窯塩を使用したという、素材が吟味されていると感じさせるパネルもある。産地だけでなく、鮮度の高さ、低GI値など、素材の美質も丁寧に説明されている。客の隠れた不安を取り除くためなのだろう。店内は12畳ほどの心地よい狭さで、スタッフと訪問客の距離感も自然と近くなる。先客の小さな子どもが、飽きずに試食用のパンをほおばっている。母親も安心して口にさせられる、「地域に信用されるパン屋」なのだと感じた。

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