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丸山薫賞/平成23年度丸山薫賞決まる!
平成23年
第18回
丸山薫賞

選考

  平成23年9月2日、豊橋市役所会議室において選考委員全員の出席のもと、第18回丸山薫賞の選考が行われ、議論の結果、山本みち子さんの詩集『夕焼け買い』(土曜美術社出版販売 刊)に決定しました。

選考経過

 丸山薫賞も今年で18回をむかえることになり、その歴史がほぼ賞の性格を作ってくれてきたような気がしている。その性格をあえて表現してみると、数少ない中堅以上の賞でありながら、あと一回りも二回りも大きく詩の趣を展開させる可能性を持っている、その意味では新しさを失っていない作品に与えられている賞ということになろうか。
 その背景として丸山薫という人の詩の烈しいけれども典雅な境地が拡がっていることは言うまでもない。
 今回は多数の応募作品の中から、以下の8冊の詩集が対象になった。

『異郷への旅』(コールサック社) 直原弘道
『エメラルド・タブレット』(澪標) 苗村吉昭
『心のどこにもうたが消えたときの哀歌』(書肆山田) 林浩平
『とつぜん雉子が』(随想舎) 金敷善由
『平凡』(思潮社) 井川博年
『夕焼け買い』(土曜美術社出版販売) 山本みち子
『遊戯論』(編集工房ノア) 鈴木漠
『夜の中の家族』(花神社) 万亀佳子
(詩集名 五十音順)

 それぞれが個性を持ち技巧を凝らしているので今回も議論はかなり厳しいものになった。
 その結果、林浩平、井川博年、山本みち子、万亀佳子の4氏に絞られたが、4詩集に絞ってみると困難はそれなりに厳しいものがあった。つまり個性も極っていて完成度も高いのである。ここまでくれば、完成度と決めて井川博年の詩的領域を見事にまとめた感のある『平凡』と山本みち子の『夕焼け買い』に決められた。『夕焼け買い』の方は、8冊のなかでは現実に対する批評精神、たとえば、「あわい意識の中で生きるひとの九十数年とこの季節だけの蝶の時間にどれほどの違いがあるというのだろう」というフレーズは、母に対する愛情が汎神論の世界の中に置かれることによって、両者が見事に息づいているのだ。このことは散文詩めいている「ハラダさんのコウモリ傘」についても言える。いつの間にか「ハラダさんのコウモリ傘」の世界の喩になったコウモリ傘を支える思想性がこの散文を詩に変えているのである。私が、詩に思想がなければならないと主張するのは、そういう事なので決して平和憲法擁護、戦争反対、と書くことではないのである。
 この点では、井川博年の「那須への手紙」「われわれはみなマイナー・ポエットである」というような作品も端倪すべからざる思想性を本質に持っていることをつけ加えておきたい。
(文中敬称略)
(選考委員 辻井喬 記)

受賞者紹介

 山本さんは、昭和15(1940)年熊本県生まれ。東京都武蔵村山市在住。
 熊本学園短期大学社会学科卒業。
 高田敏子主宰「野火」を経て、鈴木亨主宰「木々」終刊まで同人。現在「馬車」「砧(きぬた)」「ふーが」「む」の同人である。
 主な詩集に『オムレツの日』『海ほおずき』『きらら旅館』『彦根』などがある。日本現代詩人会、日本詩人クラブ、日本文藝家協会、近江詩人会所属。

平成23年度受賞者
受賞者 山本みち子氏

牟呂中学校群読
牟呂中学校1年生による群読

受賞の感想

 詩らしきものを書き始めた頃、詩人・丸山薫は、遥か遠くにそびえる崇高な山々のひとつでした。
 人にはそれぞれの生き方や価値観があるように、詩への向かい方も違う。そんな当たり前のことをこの年齢になってようやく心から実感できるようになり、拙いながらも自分の作品をいとおしいと感じられるようになりました。そのような感慨を持ち始めたいま、(それでいいのだよ)と遥か遠くから温かい声が聞こえたような気がしています。

贈呈式

平成23年10月21日(金曜日)、豊橋市内のホテルで行われ、同賞委員をはじめ、日本現代詩人会会長の八木忠栄さんら約100名が出席。女声コーラスの合唱や豊橋市立牟呂中学校1年生による群読などで祝福しました。