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汐川干潟保全基本指針 第4章

4.水環境

1.干潟の底質

汐川干潟は、基本的には砂泥質の干潟ですが、西側(田原市側)は粒径がごく細かなシルトや粘土を多く含む泥質、東側(豊橋市側)は粒径がやや粗い細砂質といったように場所によって底質が異なります。このことから、汐川干潟は多様な性質を持つ干潟ということができます。なお、過去との比較から、干潟の西側は今よりも泥質の傾向がより強かったと考えられ、流れ込む砂泥の性質が変化してきた可能性があります。
 干潟には、川などを通じて有機物なども流入し堆積します。その状況をCOD(化学的酸素要求量)値で見ると、干潟の西側で高く東側で低い傾向を示しています。砂粒が微細な泥質の干潟は、酸素が浸透しにくいためCOD値が高くなりがちですが、有機物が過度に溜まることは、人から見ても生き物から見ても好ましいことではありません。
 汐川干潟の底質について、多くの地域住民は「泥っぽく踏み込みそうで干潟に入りたくない」という印象を持っており、特に田原市側でこの割合が高くなっています。一方、「砂っぽく歩きやすそうで干潟に入りたくなる」と感じる方は多くありませんが、豊橋市側でこの割合が高くなっています。以上から、地域住民は、感覚的ながら干潟の底質の違いを的確に把握しているということができます。

2.川と海の水質

集水域で最も広い流域を持つ汐川の水質(船倉橋)について、BOD(生物化学的酸素要求量)75%値の推移を見ると、今日までに改善が見られるものの、国が指定する環境基準値(E類型:BOD10mg以下)を達成しておらず、未だ課題となっています。
 次に広い流域を持つ紙田川のBOD値(平均値)は、汐川と比較して低い値で推移しています。しかし、海域の水質汚濁の主な要因とされる窒素とリンについては、例えば梅田川(御厩橋)と比較して多く含んでおり、このことは汐川も同様の状況にあり、注意が必要です。
 臨海域(神野・田原地先「木材港」)の水質について、COD75%値の推移を見ると、過去10年間の平均は4.2mg/Lで、この海域の環境基準値(C類型:COD8mg/L以下)を毎年達成していますが、三河湾全体の課題として水質の浄化をさらに推進する必要があります。

図5 汐川干潟の底質概況

汐川干潟の底質概況



図6 汐川と紙田川の水質

汐川と紙田川の水質

注)BOD値の汐川(船倉橋)については75%値。他は平均値です。


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