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ビンカンボックスのふたはなぜユルいのか(大林 正智)

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ビンカンボックスのふたはなぜユルいのか(大林 正智)

びんかんボックスの写真「ビンカンボックス」というのは、いつでもビンやカンを捨てることができる豊橋独自のシステムだ。大きなゴミ箱のようなもので、可動式のふたを上に押し上げてから、ビンやカンを入れる。そのふたはなぜかユルい。しかも、開けたままにできないだけならまだしも、一瞬止まって、時間差で落ちてくる。落下したふたに頭を打たれるのは「豊橋市民あるある」だ。

そこで、わが家の「ビンカンボックス当番」は二人組になっている。ひとりがふたを支えている間に、もうひとりがビンやカンを投入するのだ。ひとりでたいへんそうに投入している方を見て、手伝ったりもする時もある。すると「このふたはユルいのん」と、会話も生まれる。「市民のコミュニケーション促進のため、そういう仕様にしてあるんです」と市役所の人が言っていた(嘘)。豊橋はそんな街だ。

そんなビンカンボックスが平成29年3月末で廃止になる。市民が支えあうことを象徴しているようにも見えたこのシステムを、豊橋市民は維持しえなかった。その事実を、理由と共に記憶に留めておきたい。

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