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丸山薫賞/令和元年度丸山薫賞決まる!

 令和元年度(第26回)

 

丸山薫賞

 

選考 令和元年9月6日(金曜日)に豊橋市役所会議室において第26回丸山薫賞の選考が行われ、清水 哲男(しみず てつお)さんの詩集『換気扇の下の小さな椅子で』(書肆山田刊)に決定しました。

選考経過と授賞理由

 本年度の選考委員会は、9月6日、豊橋市市役所内会議室にて、以倉紘平、新藤凉子、八木忠栄、八木幹夫、高橋順子の5名により行われた。司会は八木幹夫委員。(応募、推薦された詩集224冊の中より)一人2冊以内として予め選ばれた候補詩集は、作品題名アイウエオ順に、以下の7冊である。

)『オウムアムア』田村雅之

『換気扇の下の小さな椅子で』清水哲男

『きつねうどんをたべるとき』山本純子

)『地名抄』安水稔和

()『古いアルバムから』清水茂

『洋裁師の恋』岡島弘子

『私の知らない歌』大木潤子       

 このうち『私の知らない歌』が2名の選考委員によって推された外は1名ずつの推薦だった。

 まず初めに各委員がそれぞれ推薦理由を述べたが、他の委員の短い批評や感想なども挟まれ、一巡したところで、十分検討すべき作品として、清水哲男氏の『換気扇の下の小さな椅子で』と清水茂氏の『古いアルバムから』の2作を残すことにした。

 お二人とも八十代の詩人である。ともに老いの心境を語るが、それぞれの作品の題名が端的に示すように、現れようはずいぶん異なっている。

 清水茂氏の作品は、フランス文学者として異国に滞在した折りなどに出会った懐かしい人びとの面影や、心のゆらめきを端正な筆にのせたもので、静謐な抒情をたたえている。

 このような作品に接しうることは私たちの喜びであるが、読者は贅沢なもので、なにかしら波瀾や混迷を望むものである。

 清水哲男氏の作品は、これまでの半生とともに、いまの困難な日常の時間を明るい機知によって照らし、再構成している。時に弱音は吐くものの、安易に絶望したりせず、おのれを滑稽な老人と眺める雄々しさもある。詩人の精神とはこのようなものではないだろうか。詩集後半は単調に流れたという指摘もあったが、一選考委員は、年老いてゆくという初体験を哲男氏は前向きにとらえ、詩を読む喜びを与えてくれた、懐かしい、いとしい世界を創っていると絶賛した。

 結局話し合いで決まらずに、最後は決戦投票となり、その結果3票対2票で、清水哲男氏の『換気扇の下の小さな椅子で』への贈賞が決まった。                       (文中敬称略)


(選考委員 高橋 順子 記)

受賞者紹介

 1938年東京生まれ。京都大学文学部哲学科卒。卒業後は、出版編集者を経て文筆業。

二十歳頃より詩を書き始める。在学中に詩集『喝采』発表。1975年『水甕座の水』で第25回H氏賞を受賞。既刊詩集に『東京』(第1回詩歌文学賞)、『夕日に赤い帆』(第2回萩原朔太郎賞)、『黄麟と投げ縄』(第1回三好達治賞・第6回山本健吉賞)など

  清水哲男氏         

清水 哲男さん 

     受賞詩集

 受賞詩集『換気扇の下の小さな椅子で』

受賞の感想

 丸山薫はつとに敬愛し続けてきた詩人です。その方のお名前を冠した賞をいただき感動しております。ありがとうございました。

 結局のところ。詩の究極のテーマは「愛」と「死」ではないでしょうか。書き手の年齢によってそれらは様々な色合いや濃淡を変化させていきます。私の場合も年齢相応に「死」の色合いが濃くなっていきました。やむ得ません。しかしながら若い頃と違ってその色合いの変化を楽しめるようにもなってきたようです。その軌跡が本書というわけですが、如何でしょうか。

 はるばると来つるものかな。そんな思いを一方で抱きながら、他方ではまだまだ成熟度が不足しているなあという思いも残ります。

 今回の受賞を励みに、遅々たる歩みになりそうですが、ボツボツと前進しようと愚考しております。

贈呈式

令和元年10月21日(月曜日)豊橋市内のホテルで行われました。

体調不良で欠席の清水さんに代わり妻・幸子さんが出席されました。

第26回丸山薫賞贈呈式