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- 嵩山は、本坂峠を越えて静岡県の三ケ日とを結ぶ街道(通称 姫街道)が通じている交通の要衝で、古くは宿場町として栄えました。
- 嵩山蛇穴は、奥行きが70mほどの大きな鍾乳洞で、縄文時代の洞くつ遺跡として国の史跡に指定されています。蛇穴という名前は、大蛇が住んでいたという伝説に由来します。
- 蛇穴周辺の地形は石灰岩地質で、新穴や水穴などの鍾乳洞があり、石灰岩地独特の植物が自生しています。
- 浅間神社は、頭浅間(大山浅間社)、腹浅間(原川社)、足浅間(富士社)の総称で、古い歴史を持つ神社です。それぞれの神社境内には鎮守の森として保存された樹林が多くあります。
嵩山蛇穴
◆観察のポイント
嵩山蛇穴などの洞くつ、石灰岩地に生育する植物など独特の地形や植生を見ることができます。
植物
バクチノキ群落
嵩山蛇穴から浅間神社にかけて、バクチノキの自然林があります。バクチノキは、樹皮が成長するにつれはがれ、赤褐色の木肌を露出するその様が、バクチで身ぐるみはがれたようだということから名付けられました。また、嵩山のバクチノキ林の中にはムクノキ、アカメガシワなどの落葉樹も群生しています。
バクチノキ
石灰岩地独特の植物
嵩山の石灰岩地には、トキワトラノオやコバノチョウセンエノキなど石灰岩地を好む植物(好石灰岩地植物)が生育して独特の植生となっています。
動物
洞くつ性動物
洞くつ内にはキクガシラコウモリ、ハベメクラチビゴミムシ、ミカワホラヒメグモなど洞くつ独特の動物が生息しています。これらの生物を実際に観察するのは困難です。
ミカワホラヒメグモ
里山の鳥類
山林には、春から夏にかけてはサンコウチョウ、オオルリ、キビタキなど里山の鳥類が生息しています。冬になると、迫間池にはコガモが渡ってきます。林の中ではルリビタキ(鳴き声(以下同じ):ヒッヒッ)、クロジ(チッ、チッ)、ミソサザイ(高いジッジッ)やウグイス(低いジッジッ)の地鳴きが聞こえてくるでしょう。
陸貝
嵩山蛇穴周辺は、石巻山などの限られた石灰岩地に生息するミカワマイマイなどの希少な陸貝の産地です。ミカワマイマイを実際に観察するのは困難です。
地形・地質
嵩山の洞くつ群
- 嵩山の洞くつ群は、石灰岩を地下水等が長い年月をかけて溶かしたことにより造られた鍾乳洞です。
- 「嵩山蛇穴」は、縄文人の住居跡で、高さ1.5m幅3m程の入口から奥行きが70m程あります。出入りは自由ですが洞穴の中に入るには危険防止のために照明やヘルメットなどの装備が必要です。
- 「水穴」は、嵩山蛇穴の近くにある小さな洞くつで、その名の通りきれいな湧き水が流れ出ています。「新穴」は、近年に発見された鍾乳洞で、危険防止のため入洞が禁止されています。
石灰岩地質
石灰岩は酸に弱く雨水や地下水などに浸食されやすいため、鍾乳洞など起伏のある地形を形成します。
◆スポット保全のためのポイント
- 嵩山蛇穴は、国の指定文化財であるとともに、洞くつ性の貴重な生物が生息しているので保全に努めましょう。
- バクチノキは、嵩山の温暖な気候を表すものとして貴重なので保全に努めましょう。
- 石灰岩地には、独特の植生があり、希少な陸貝が生息するので、保全に努めましょう。
- 豊橋自然歩道(嵩山自然歩道支線・旧姫街道)は、多くの市民が自然とのふれあいに利用するので沿道の環境美化に努めましょう。
- 現地の生態系の保全のため、外部から動植物を持ち込まないようにしましょう。→ 「外来生物について」はこちら
嵩山自然歩道 入口
◆法令などの規制
法令名 |
内容 |
石巻山多米県立自然公園
(特別地域) |
自然公園法及び愛知県立自然公園条例により、優れた自然を維持するために県立自然公園特別地域に指定されています。木竹の伐採、土地の形状変更、屋外広告の掲出、工作物の建築等について制限があり、実施にあたっては許可が必要です。 |
地域森林計画対象民有林 |
森林の施業を計画的・合理的に行うため、森林法による計画がたてられた民有林で、伐採や開発行為の実施にあたっては、届け出または許可が必要です。 |
文化財保護法(国指定史跡) |
貴重な文化財として、国の史跡に指定されています。指定範囲内で掘削行為など現状を変更する行為については制限があり、実施にあたっては許可が必要です。 |
◆アクセス
嵩山蛇穴に行く場合
豊橋駅東口5番乗り場から豊鉄バス豊橋和田辻線(72、73系統) 嵩山バス停下車徒歩10分。
[地図]