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検査でみつかる主な疾病

敗血症(はいけつしょう)

 敗血症(はいけつしょう)とは、感染した細菌が血液に乗って全身に回ってしまった状態です。全身で細菌が増殖しているため全部廃棄となります。検査では、心臓の弁に疣贅物(ゆうぜいぶつ;細菌巣を含むイボのような塊)ができたものや、肺・腎臓・肝臓などに点状出血を認めたり、腎臓などに梗塞巣(血管が詰まった病変)を認めたりします。

敗血症の豚
(写真)敗血症でチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色である状態)を呈した豚

膿毒症(のうどくしょう)

 化膿巣(かのうそう)から菌が血流やリンパの流れを介して全身に回り、体の様々な場所(皮下・筋肉・内臓・リンパ節など)に新たに化膿巣を作ることがあります。このように、全身に膿瘍ができている状態を膿毒症(のうどくしょう)と呼び、膿毒症と診断された場合は、全部廃棄となります。

豚丹毒(とんたんどく)

 豚丹毒(とんたんどく)とは、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiaeによって起こる感染症で、家畜伝染病予防法の届出伝染病です。また、人にも感染し、発熱・疼痛・リンパ節炎などの症状を認める類丹毒(るいたんどく)を引き起こす人獣共通感染症の一つです。豚丹毒と診断された場合は、全部廃棄となります。 
 
豚丹毒の症状は急性型と慢性型に分けられ、前者には急性敗血症型(きゅうせいはいけつしょうがた)、蕁麻疹型(じんましんがた)、後者には心内膜炎型(しんないまくえんがた)、関節炎型(かんせつえんがた)があります。それぞれの症状は下記のとおりです。

  • 急性敗血症型・・・チアノーゼ・発熱・振るえ等の症状を呈す。
  • 蕁麻疹型・・・体表に菱形の淡紅色で隆起した蕁麻疹が現れる。
  • 関節炎型・・・関節が腫脹し、疼痛を起こす。
  • 心内膜炎型・・・心臓内に疣贅物を作り循環器不全を起こす。

豚丹毒の豚(蕁麻疹型)(写真)蕁麻疹型の豚

 

黄疸(おうだん)

 黄疸(おうだん)は、血液中のビリルビンと呼ばれる胆汁や赤血球に含まれる黄色い色素が異常に増加して、体の様々な場所に溜まり、その場所が黄色味を帯びてきた病状のことです。
 
血液中のビリルビンは、肝機能の低下などで胆汁の正常な分泌が邪魔されたり、赤血球を壊す病気にかかったりした時に増加します。牛では、産前産後のストレスに起因したものや、豚では発育不良豚での発生が多い傾向があります。
 
高度な黄疸については、食用には不適であると判断し、全部廃棄となります。
高度黄疸の豚の枝肉
(写真)高度な黄疸を呈した豚の枝肉(左奥は正常な豚の枝肉)

尿毒症(にょうどくしょう)

 尿毒症(にょうどくしょう)とは、腎臓の炎症などの尿の生成の障害や、結石などによる尿管や尿道の狭窄や梗塞による排尿の障害が原因で、毒素が体内に蓄積して発現した症状のことです。雄や去勢の牛で多い傾向があります。肉眼所見で異常を認め、血液検査で異常を認めたり、筋肉から尿臭やアンモニア臭を認めたりする場合、尿毒症と診断し全部廃棄となります。

牛伝染性リンパ腫(うしでんせんせいりんぱしゅ)

 牛白血病ウイルス(BLV)感染に起因する成牛型(地方病型)と、不特定の原因により散発的に発生する、子牛型、胸腺型、皮膚型があり、ほとんどが悪性リンパ腫です。牛でみられる最も一般的な腫瘍性疾患の1つで、と畜後に判明した場合、全部廃棄となります。