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手筒がハネたら(桑原 裕明)

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手筒がハネたら(桑原 裕明)

手筒花火をあげている写真

「祭りに参加して手筒花火をやりたい」と軽はずみに言ってしまったのは、飛び散る火の粉を体に浴びる勇壮さに、これはモテる!と直感してしまったせいだ。こんなにも膨大な時間と手間、集まれば、ほぼ100%、酒の付き合いが伴う。そうと知っていれば絶対にやらなかった。激しいノリについていけず、濃厚な人間関係にはほとほと疲れた。もう二度とやるもんか。

それなのに、手筒の最後「ハネ」と呼ばれる筒の底がズドンと破裂する爆発の衝撃は、そんな思いの全てを吹き飛ばしてしまうから厄介だ。空っぽになった脳裏には試練を乗り越えた達成感と祭りのあとのセンチメンタルのみが焼き付いてしまうのだ。

こうして、まんまと手筒の虜になってしまうのはどうしようもない豊橋人の性なのだろう 。何だかんだモテるしね(笑)

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