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羽田八幡宮例大祭(木村 ひとみ)

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羽田八幡宮例大祭(木村 ひとみ)

手筒花火をあげている写真

代々住んでいる家の多い土地柄に、新築をして越してきた我が家はまさに新参者。
その年の秋、羽田祭で初めて見た手筒花火が衝撃だった。
「自分が上げる花火は、自分自身で火薬を詰めるんだよ」 近所の人の言葉に、最初は意味がわからなかった。
しかし、夜空を突き破る爆音とともに噴き出す火の粉を全身に浴び、一心不乱に奉納花火をあげる勇姿を見て納得した。
命懸けだからこそ、すべての責任を自分で負うのだ。
羽田八幡宮のお膝元に住む人たちのお祭りへの熱い想い、受け継いでいこうという気概、そして誇り。
あれから20 年、二人の息子たちが成長するとともに地元になじんで行った私は、その意義深い想いを共有するようになった。
無邪気に爆竹をあげていた息子たちは今、故郷を離れ東京で暮らしている。
小さな法被を着てはしゃいだあの瞬間を、手筒花火を讃えるにぎやかな歓声を、折に触れて思い出すだろうか。
毎年10 月の羽田祭りが無事終わると、季節は一気に年の瀬へと向かう。

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