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ひとり親の子育てについて~子どもの目線から~その3

【ひとり親家庭向けの子育てコラム】

 

~五十嵐岳さんインタビュー~

第3回目「周りと私」

 

周りと比べる自分
—離婚をすると、子どもの生活環境を変えてしまうことがつらいです。特に経済的な面でこれまでどおりにはいかなくて・・・例えば、「旅行に行けない」など。
 それって、いろいろな見方があると思うんです。僕も、今まで行けていたのに行けなくなってしまったとか、やれていたことがやれなくなったことはつらく感じました。旅行に行っている親子がいるのにうちは行けないと周りと比べる自分もいて・・・。旅行に行くことがステータスになっていて行けないことで卑屈になってしまう、とか。
 旅行に行くことが自分の幸せであるなら、それができるようにする。でも、旅行じゃない他のことに幸せを感じられたら、それはそれでいいですよね。
 日本はあまりそういう機会がないのかもしれないけど、グループカウンセリングが大切だなと思います。グループだとみんなの話を聴くし、みんなとの共通点も違う点も一緒に知ることができて、それぞれを認め合えるから。

認め合ってポジティブ
—自分だけの世界で考えるのではなくて、みんなと話すことで自分もみんなも認められるんですね。
 はい。オーストラリアの教育って認め合ってポジティブだったんですよ。先生たちに何を言ってもポジティブな回答が返ってきました。僕が中高生のとき日本にいたら、きっと「僕はダメだ~っ」てなってしまっていたと思います。

学校がすべてではなかった
 小学校のときは、ネガティブになっていたこともありました。人気者であることが人に認めてもらうバロメーターのようなところがあって、自分の得意なこと(乗馬やスキー)を友達に見せる機会がなくて卑屈になっていたんです。ただ、塾と習い事の先生や友人、僕の家にワーキングホリデーで滞在していた方にも可愛がってもらえたので、学校がすべてではなかったのがよかったですね。

人へのリスペクトがあればいい
—家族以外にもいろいろな方に出会って愛される機会があったのですね。
 子どもって親が言って聞かなくても、先生や周りの大人、人へのリスペクトがあればいいと思うんです。リスペクトがあれば、話を聞くことができるから。それって、何か大きなことをしている人とかではなくて、日常の積み重ねで関係を築いていく人のことだと思います。
 僕自身、大人になってからも素敵な先輩や仲間に出会う機会がありました。面白い人、かっこいい人、リスペクトしている人がいっぱいいます。そういう大切な人たちがいると、僕もかっこ悪いことしちゃいけないなって思いますよね。
 それでも、完璧な大人であろうとはしなかったです。オーストラリアで保育士をしているときも、子どもたちにとって完璧な大人ではなく、子どもたちと一緒にクラスをつくりあげて、かっこいい大人であろうとしていました。

相手を思えると自分を大切にしたいと思える
 でも、そうできないときもあって、10年前の僕は、自分が大好きとは言えなかったんです。日本に帰ってきて、自分が大好きなことをやれていなくて、大好きな自分を取り戻そうと思って絵を描いてきました。10年間の積み重ねが、自分を大好きと言える自信と絵を見てもらえる環境にしてくれました。
 目の前の人に笑顔になってもらいたい。笑顔でいてくれたらと思える人たちがいる。みんなのために頑張っているわけではないんですけど、相手を思えると自分を大切にしたいと思えますね。


【おまけ:ひとり親の恋愛】
—ひとり親って子どものこと最優先にしなきゃいけないって思ってしまうのですが、正直、ひとり親の恋愛って、子ども目線だとどう思うのでしょうか。
 親も恋愛していいと思いますよ。僕が高校生のときに、一度だけ、母の再婚話が出ました。僕は、まず「相続はどうなるんだ!?」と思ったのと、「金髪の可愛い子が妹になるのか!?」って思いました(笑)。
 でも、五十嵐じゃなくなるのが嫌だって思ったきょうだいもいたし、4人きょうだいそれぞれの反応が違っていたんですよ。

—反応が違うって当たり前ですけど、どこかで「子ども」って一括りに考えていた気がします。改めてお話を聴いて、一人ひとり違うならそのとき一生懸命やるしかないのかなって思いました。
 正解はないですからね(^^♪

(来月の第4回目は、「父との再会、両親について思うこと」をお届けします)